始まりで全体は決まる。
冒頭でどれだけ読者を惹きつけられるかが肝だ。
一番最初の出だしに気をつけている。どんな出だしにしようか、というのは結構悩むところだ。ここの出だしが全体の文章でとても大事なものだと感じる。
出だしが有名な文章といえば、
例えば、川端康成の『雪国』における
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」
とか、
「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」
が思い浮かぶ。
「「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」」
この一文はもう完璧な出だしと言えるのではないか。美しい。
でも、完璧な出だしというのも存在しないのだろう。完璧な絶望が存在しないように。
出だしは重要だということを意識していてもなかなか難しい。
この始まりで惹きつける文を書くことを意識したい。
文章と同じように、歌の歌詞にも出だしが大好きな曲がいくつかある。
始まりで惹きつけられる曲はいくつかある。
その中でも、3曲選曲した。
1虹とスニーカーの頃/チューリップ
この始まりはすごい。
「わがままは女の罪 それを許さないのは男の罪」
このパワーワードの重み。いやすごい。
ここで、いやわがままなのは男の方でしょ、それ男女逆じゃない、とかいうかもしれない。でも、正しいとか正しくないとかではないんだよここでは。
歌詞について色々ということはできると思うけれども、ここは歌詞のまま押さえておくのだ。間違っている、間違っていないはどうでもいいんやないかと思う。
こういった言葉でこの曲に引き込まれていく。惹かれていく。
2ハイウェイ/くるり
「僕には旅に出る理由がだいたい100個くらいあって」
これもまた同じ。
100個?100個もあんの?言ってみ?
と言っていてはダメだ。そのまま言葉通り感じる。この始まりもめちゃくちゃ好きだ。
メロディーもこの好きという気持ちに乗っているとは思うのだが。
旅に出る理由というのは、いろんな人が歌っているなぁと感じる。
小沢健二は『旅に出る理由』で、「僕らの住むこの世界では旅に出る理由があり」
と歌い、
スカートは『私の好きな青』で、「僕らが旅に出ない理由なんて本当はただのひとつだってないんだ」
と歌う。
スピッツは「僕はきっと旅に出る」と歌う。
僕もいつかきっと旅に出る理由を探して旅に出よう。
3桜 super love/サニーデイ・サービス
Sunny Day Service - 桜 super love【official video】
「君がいないことは君がいることだなぁ」
この出だしは最高。痺れる。
は?どういうこと?
いないやん、なのにいるってどういうこと?
いや、もういい。この話をしだしたら複雑になる。こんな議論は他の誰かに任せておこう。
この出だしも好きだ。いきなりこの言葉が飛び出す。
もうすぐ、いやもう春は来ているのかもしれない。この曲は春に聴く。春は出会いと別れの季節。
君がいないということは君がいることなんだ。そうずっと信じている。君がここにいないと言えるのは、君がいるからなんだなぁ。
別れがしみてくるこの時期。僕はこの曲でい別れた様々な人たちのことを思い出す。
出だしが素敵な曲、文章は引き込まれる。よく第一印象が重要というけれども、その曲の最初のワンフレーズはいつも注目している。
でも、完璧な出だし、冒頭など存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。