フジファブリックの『VOYAGER』というアルバムは、僕の意図するところとは違うところで目の前に現れた。手元に届けられた。
自分で買ったものではなくて、プレゼントとして人から受け取ったものだ。
今まで他の人からプレゼントなるものをいくつかもらってきたけれども、CDをもらったことは今までにない。僕は音楽を愛しているし、音楽を聴くことが好きだ。だから、CDというプレゼントはとてつもなく嬉しいものであった。
受け取ったのは受け取ったけれども、僕は少し聴くのに戸惑っていた。それは、これがもし自分の耳に合わなかったらどうしようとか、聴いて素直に心が喜ばなかったらどうしよう、とか考えていたからだ。でも、受け取ったものはまず聴くことが必要だと思った。受け取ったものをそのままにしておくわけにはいかない。
一曲目からゆっくりと聴いた。
うん、最高にいい。このアルバムは自分にあっている、そう感じた。
感想を送った。
音とメロディーは僕の身体、僕の耳にあっていました。聴いていて心地よいです。流れるように音が沁みていきます。弾むような言葉もめちゃくちゃ気持ちいいです。歌詞については、もう少し深く聴いていきたいと思っています。
これからも聴き続けることは間違いなしです。
本当にありがとうございました。
一曲目から聴いた感想というか、感じたこととかそういったことをプレゼントしてくれた相手に向けたメッセージとしてここで詳しく書ければと思う。
このアルバムは全部で12曲が収録されている。それを1曲1曲、僕が感じたことを、簡単ではあるが。
1、徒然モノクローム
この曲はイントロが好きだ。徒然なるままに流れるように進みながらも、勢いがある。思い切りがある。パッと明るくなる一曲。一番最初の曲にふさわしいと感じる。
「嘘をついたら針千本、誰が飲むかはじゃんけんぽん」といった韻がリズミカルに心を踊らせる。
サビはのびがすごい。「はるか彼方までゆきましょう」のところでは、もう俺も思いっきり声に出して叫びたい気分になる。
「は・じ・まりです」のリズム、テンポも好きだ。
締めもいい。終わり方も好きだ。
2、自分勝手エモーション
つとめて早いテンポで明るい曲調を醸し出しながらも、この歌詞に悲しみを感じる。メロディーと歌詞が追いついていない。それがいい。この悲しみが伝わって欲しいという声が聞こえる。
自分勝手な気持ちをどんどん出していくと、そりゃうまくいかないという気持ちになってしまう。自分が中心で世界が回っていると思うと、自分の思うように回らない世界にうんざりしたりイライラしたり。多分僕も自分勝手な気持ちに振り回されてきたし、これからも振り回されることがあるのだろうな。
でも、自分勝手っていう言葉、人に迷惑かけなければ、結構いい方に向いたりもするんじゃないかな。自分勝手が一辺倒に悪いというものでもない。ジコチューで行こう!
3、Magic
ゾワーと始まって、そこからドドドドという音が響く。少し大きめの音で聞きたい。
この曲も最初の曲と同じように韻が気持ちよく響く。途中から声が重なって聞こえてくるところがある。そこかなり好きだな。
サビ前がいい。
僕は最近夢の中でMagicのようなことが起こり過ぎていて、それを起きてすぐメモしたりしているのだけれど、夢ばかりが大きく驚くようなことばかりがあって、実際の現実には全く夢のようなことが起きたりしない。もちろんそんな夢のようなことはなかなか起こるものではないけど、夢より現実は全く平凡というのは面白くない。夢より現実をもっと面白いものにしたい。
4、Time
このアルバムの中では二番目に好きな曲だ。落ち着いた曲調が身体に馴染む。
青い空を見上げながら公園のベンチに座って聞いたりするといいのではないか。
少し前を向かせてくれる曲。
変わっていくものと変わらないもの。変えることができるものと変えることができないもの。
『嫌われる勇気』という本があってその中にこんな言葉があった。「ニーバーの祈り」という有名な言葉である。
神よ、願わくばわたしに、変えることのできない物事を受け入れる落ち着きと、変えることのできる物事を変える勇気と、その違いを常に見分ける知恵とをさずけたまえ
僕は聴いていて、この言葉思い出した。
5、Upside Down
だいたいくだらないセオリーがそう
さえない顔したメロディーを
オタマジャクシの影からそう
大きなカエルが見てるよ
この部分好き。
6、透明
この曲はかなりいい。
写真を撮っておきたい
また会えなくなるでしょう
とびきりの笑顔で
僕らだけの言葉で
この歌詞に強いメッセージを読み取った。
前を向かせてくれる曲。少し明るい未来を感じさせてくれる曲。未来は透明だ。
7、こんなときは
「 もうこんなときは寝るに限る」っていう歌詞が嬉しくなる。寝るに限る。っていう表現がいい。
もう今日は寝るに限る。色々後悔とかあるけど、もう寝るに限る。あと何か食べるに限る。
「そういえば遠のいて行った人達は何をしているのかな」
何をしていますか?
8、Small World
始まりの音好き。何か出てくる感じ。
この曲も僕の中では大ハマり。
「描いた未来へ 繋いでいくのさ たとえ過去が邪魔をしても」という歌詞が励ましてくれる。繋ぐという言葉で思い出される歌詞がある。
星野源の『ドラえもん』の「背中越しの過去と輝く未来を赤い血の流れる今で繋ごう僕ら繋ごう」という歌詞。
僕らは過去が邪魔をする時があるけど、過去を背負って今を生きていて、これからを生きていかなくちゃならないんだよなぁ。
9、Fire
出だしで花火が上がっている。花火の音がする。
この曲の歌詞はなかなか遊んでいて面白い。でもちょっとよくわからない。
10、流線形
この曲は一番好きな曲だ、このアルバムの中で。サビの透き通った感じが、めちゃくちゃ気持ちいい。サビを少し大きめの音量で聴くとなお良い。
本当に流線形のようにスーッと気持ちよく流れてくる音楽。
結局一人じゃ何もできやしないんだ。
11、春の雪
春といえば出会いや別れの季節というけれど、これは別れの曲のように聞こえる。別れには送られる側と送る側といった二つに別れることがある。その中でいえばこの曲は送られる側、自分がいた街を離れていく側の気持ちを歌ったような感じがする。
のんびりとした曲調がいい。こののんびり感がしみて馴染んでくる。
サビの最終列車という言葉を聴いてくるりの『最終列車』を聴いている私です。
12、Light Flight
タイトルですでに韻が踏まれている。このアルバムの曲はどれもよく言葉が考えて使われているのだろうと思う。
「輝かせてみるよ」
まだ輝かせてはおらず、これから輝かせるのだろう。このアルバムは終わっても、これからは続いていく。曲が終わったらそれで終わりとならず、ずっと続いていく。
『カメラを止めるな!』という映画もだけど、曲も映画も終わることはあるけど、それで終わりじゃなくてずっと心に残ってそこでまた映画が始まったり、曲が始まったりする。ずっと続いている感じ。終わらない歌は終わるけど、またいつか始まる。
この曲は最後にふさわしい曲といっておくことにする。
以上12曲。
DVDも観た。こうやって曲が作られていくのだという過程が見れてとても楽しかった。メンバーについても実はあまり知らなかったが、少し知ることができて、それも良い印象を持った。
これからも『VOYAGER』聴き続ける。そしてフジファブリックの他のアルバムにも手を出そうかと考えている。
今回の記事は、この『VOYAGER』というアルバムを僕にプレゼントしてくれた方に向けたものでもある。
このアルバム以外に、綿矢りさの『ウォーク・イン・クローゼット』という本もいただいて、すでに読んだのでそれについても書けたらとは思うのですが、なんせ難しそうです。もしかしたらということで。
本当にありがとうございました。そして、遅くなってしまいすみません。