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誰かに髭を剃ってもらう時に感じる恐れ

先日、床屋へ行って髪を切ってもらった。かなり長くなっていた髪をバッサリと切ってもらった。

 

僕の行っている床屋のおじちゃんはよくしゃべる。とにかくよくしゃべる。髪を切りながらしゃべっているというよりも、しゃべりながら髪を切っている感じだ。シャンプーをする時だって言葉はどんどん出てくる。

話しかけられるのが好きではない、話しかけられても困るという人がいる。けれど、僕はそうではない。

話をしているほうが落ち着いたりする。色んな話をしてくれるから、ためになったりする。笑ったり、深く納得したり。

 

でも、実は話した内容とかはあまり覚えていない。ふんわり覚えている程度だ。

それでも会話は楽しい。落ち着く。

 

喋りが止まらないおじさんだけど、まゆげや髭を剃るときになると全くしゃべらない。

かなり集中しているのだろう。

僕が顔を動かせないので、相手が反応を示せないため、というのもあるのかもしれない。

 

髭を剃るときに、顎とか喉の方もまんべんなく剃ってくれる。その床屋は基本客が一人で他に誰もいないからそのときは本当に静かだ。ジョリジョリという音が聞こえるだけ。

 

そのとき、僕はひどく恐れを感じる。のどの方まで髭を剃られているとき、辺りがめちゃくちゃ静かなその状況で、僕は殺されるんじゃないかと、怖がる。死ぬこと、殺されることを怖がる。

今のところ殺されていない。なんとか生きている。自分ではない他人にのどの髭を剃ってもらうとき、本当に怖いのだ。

 

僕が相手を信頼していないわけではない。だけど、殺される可能性がないわけではない。僕はいつも髪を切ってもらうときの、このひげを剃られる時間が一番怖い。

 

誰かに何かをしてもらうときは、僕はお金を払う以外で何か代償を負わないといけないのかなぁ。髭を剃ってもらう引き換えに、僕は殺される恐怖に怯える。怖がらないでいいからね、という言葉を投げかけられてもなお怖い。いや、それは余計怖いかもしれない。