超個人的平成ベストアルバム10選
新たな元号は令和である。実感はまだない。どこで実感が生まれるのかとんと見当がつかぬ。
夏目漱石の『吾輩は猫である』の書き出しのように始めてみたが、なかなかうまくいかない。もう少しうまく言いたいものだ。
平成が終わり、令和へと突入した。つい今日のことだ。新しい元号、令和。
新しいものは新しいうちに新しいと言っておかなければならない。すぐに新しいものは新しくなくなり、新しいは通用しなくなるのだ。
平成を振り返るみたいな記事をTwitterで目にすることがあった。その記事では、テレビという視点から平成を振り返っていた。他にも色々な視点から平成を振り返る記事がいくつか流れてきたりもした。
僕はそういう記事を見て、平成を振り返りたい!なんて強く思ったりはしなかったが、ほんのちょっとだけ、平成を振り返ってみようかなと、そういう気持ちが生まれた。音楽の視点で振り返ることに。
とはいっても、僕に音楽の知識が多くあるわけではないし、平成の中でどんな音楽が生まれ、どんな音楽が流行り、平成がどういう音楽の時代であったかを語ることは、いまの僕の力ではできない。全体をうまくまとめたりすることって難しい。
語れるだけの音楽を聴いてきていない。平成全体からみる音楽を語れるだけの力がなく、それをすることは僕には到底できないのだ。
だから、超個人的に、自分の好きな平成の名盤なるものを語ってやろうと思う。ここではあえて曲ではなく、アルバムとした。
要するに、平成超個人的ベストアルバムをここらであげ、平成を振り返ったことにしておこうと思うわけだ。本当に自分の好きなアルバムばかりを選んだ。ただ、どうしても最近のアルバムが多くなってしまったことは了承いただきたい。
平成にリリースされたアルバムの中で、僕が個人的に好きなアルバムを10枚。
本当にただ好きなアルバムを選んで何が平成を振り返るだ?ふざけるな、と思うことだろう。僕も思っている。ただ、平成にリリースされたアルバムの中で好きなアルバムをここで僕が個人的に振り返って何が悪い。それで平成を振り返ったことにして何が悪い?
悪くないからしてもいい、というのはまた違うことなのだが。
もう令和だぞ!平成なんて振り返ってねぇで令和を生きろ、という人もいるかもしれない。そりゃそうだ。今は令和だ、だが、平成という時代を忘れちゃいけねぇ。
平成の名盤は人それぞれであり、平成を振り返るという概念も人それぞれである。
僕は大学に入ってからとくに集中して音楽を聴いてきた。そのため、ここであげられるアルバムはすべて大学生で出会ったものである。
大学までのところでも音楽を聴いてきたはずだが、そんなに記憶がない。どんな音楽を聴いていたのか、おぼろげな記憶はあるが、そこまで覚えていない。
どうしてもそうなってしまうのは仕方のないことだ。人は忘れてしまう生きものだ。懐かしの名盤なるものをここらでひっぱり出すこともできなくはないが、それはなんか違う。
今よく聴いている音楽が僕にとってはいちばん良い音楽なのだ。
いま聴いている音楽を素晴らしいと感じることができるのは、とても幸せなことだ、と僕は思う。もちろんあの時聴いた懐かしの名曲を素晴らしく感じるというのもそれはそれで素敵なことなのだが。
今回アルバムを選ぶ中でひとつルールを設けた。同じアーティストの作品を複数選ばないこと。同じアーティストでいくつもアルバムを選びたい気持ちもあったが、それはなんとなくやめた。
個人的に好きなアルバムを選ぶというのは、平成全体を振り返って音楽の名盤を選ぶのと同様に難しいことなのだ。なかなか悩むことになったし、なんとかかんとかして10枚に絞れたところだ。
最後の方で、残念ながら10枚から溢れてしまった作品もいくつかあげることができればと思う。
以下、超個人的平成ベストアルバム10枚を年代順に古いものから並べてみた。
1、LIFE/小沢健二 1994年 平成6年
小沢健二というアーティストが好きになって、このアルバムを手に入れた。メロディーも歌詞もとても好みだ。名曲がそろいにそろったアルバム。
これから10枚アルバムをあげていくが、その中でだいたいそれぞれのアルバム3曲ほど好きな曲を選びたいと思う。捨て曲なんてねぇよ、全曲最高だよ、というアルバムばかりで、すべての曲に言葉をついやしたいところだが、全曲に言葉を並べるのはどうにも難しい。
この『LIFE』というアルバムの中で一番好きな曲は、「ドアをノックするのは誰だ?」である。
”君の心の扉を叩くのはいつも僕さって考えてる”という歌詞がとても好きだ。
小沢健二-ドアをノックするのは誰だ?(LIVE AT BUDOKAN)
このLIVEを見ていると、オザケンに惹きつけられていく。本当に宗教のよう。オザケン教の信者がたくさんいる。
「愛し愛されて生きるのさ」もいい。
ふてくされてばかりの10代をすぎ分別もついて歳をとり夢から夢といつも醒めぬまま僕らは未来の世界へ駆けてく
この曲は1994年にリリースされている。小沢健二が26歳のときだ。この曲の歌詞を26歳で書いている。(いやそれより前かもしれない)
You've got to get into the groove
セリフのところもとても良い。
「ぼくらが旅に出る理由」という曲も非常に良い。
ぼくらの住むこの世界では太陽がいつものぼり喜びと悲しみが時に尋ねる
詞が美しい。僕はメロディーよりも詞に惹かれるところがある。オザケンの詞は僕の好み、どストライクである。
2、金字塔/中村一義 1997年 平成9年
このジャケットに美しさを感じる。まさに金字塔的なアルバム。
中村一義のアルバムはどれを選ぶか正直かなり悩んだ。他の好きなアルバムも10枚以外のところで、この記事の最後の方に書いた。
このアルバムで特に好きなのは、「ここにいる」という曲だ。出だしの”小さな灯り消して真っ暗にしてみるするとすぐに解るよ僕はいまここにいる”で、自分を実感できるその感じを表現してくれた。暗闇でこそ自分がはっきりと解るものなのだ。実感は暗闇とともに訪れる。
「永遠なるもの」で中村一義は”あぁすべてが人並みにうまくいきますように”と歌う。”愛がすべての人達に分けられてますように”と歌う。自分のために、他人のために生きる僕たち。僕もいつも思っている。あぁ人並みにうまくいけばなぁって。人並みでいいんだよなぁって思う時がある。
このアルバムでは特に、中村一義が何を言ってるかわからない。何を言っているかわからない、というのは、伝えようとしていることの意味がわからないとかそういうことではなく、聴こえてくる言葉が何を言っているのかわからないのだ。
音だけでは何を歌ってるのかわからないところが結構多い。このアルバムのほとんどの曲がそうだ。歌詞を目で見ないと、なんて歌ってんのかわからない。でも、それが中村一義の歌う歌の良いところでもある、と僕は思っている。
このアルバムを出したのは中村一義が22歳のときだ。今の僕と同じ歳である。小沢健二といい、中村一義といい、こんな名盤を20代で生み出しているのだ。勝負じゃないけど、僕も負けてられないよなぁと感じる。
音楽によって背中押される。
こういう事実を知って、よっしゃ俺もやってやろうじゃないか!と前を向けるか、いわゆる天才といった人たちを壁だと感じて挫折しその場に立ち止まるか、それは自分次第である。
まぁ音楽で負けずに生きていこうなんて思ったことはないし、そんなこと思わず日々現実に目を背けたりしながら、淡々と1日をこなしていくのだけれど。そういう人が多いと思うのだけれど。
いや、それにしてもこのアルバムに出会った時はとてつもない感じを味わった。これだいたい全部の楽器を一人で演奏しているという。全部自分だったっけ?それもまたとてつもない。
3、スリーアウトチェンジ/スーパーカー 1998年 平成10年
このアルバムを手に入れた時のことを覚えている。3枚同時にアルバムを買ったのだ。
この『スリーアウトチェンジ』と、先ほど出てきた『LIFE』と、『THE BLUE HEARTS』である。この3つのアルバムを同時に手にしたのだ。2年くらい前だった。その時はもう嬉しくてずっと大切にしようと思った。そうして今もずっと大切にしている。
「Lucky」という曲に出会い、そこからこのアルバムに手を伸ばしたのだ。
このPVの出だしのデイブ・スペクターいいよね。
フルカワミキの美しい声が気持ちよく響く。男性と女性の声が美しく絡まる。
あと、「I need the sun」も名曲だ。
イントロの音がいい。
歌詞も素敵である。
なんだっていい 夢中になれたらそれですべて
だいたいでいい 未来が見えたら始めるのさ
安心していい 舞台は今からつくればいい
単純でいい それですべては素晴らしいのに
歌い方が独特である。こいつやる気あるんか?みたいな歌い方、歌声だ。特にこの動画はそれをよく感じる。でも、それがいい。
観客が肩を揺らし、流れるように曲に乗っている。
4、斎藤/斉藤和義 2013年 平成25年
アルバムのタイトルに自分の名前を入れている。『和義』というアルバムもある。
特に好きな曲は、やはり1曲目の「やさしくなりたい」だ。1曲目がこの曲で、このアルバムの始まりがこの曲であるということが大事だ。1曲目からすぐに惹きつけられる。このアルバムの虜になる。
ドラマ『家政婦のミタ』の主題歌であるこの曲は、かなり有名な曲だ。
このLive映像を見て涙ぐんでいる。家政婦のミタのシーンが頭の奥から出てきてグッときたりしている。
愛なき時代に生まれたわけじゃない
俺たちは愛なき時代に生まれたわけじゃない。その通りだと思う。この世界には愛がある。
ただ、そう思わないとやってられないこともある。そういう辛いこととか苦しいことをそのまま受け入れてくれたり、逆に打ちのめしてくれるような曲。それはとても助かることだ。
『ひまわりの夢』 という曲も入っている。
この動画を見ている2分間、僕はとても明るい気持ちになる。僕にとってのひまわりだ。いやでも気分が上がってくる感じ。空を見上げさせてくれる曲。
気づいてはまた忘れての繰り返し
汚れた手はまた洗えばいい
怒られたってまたやらかしたって
あぁ美味いね真夜中のラーメン
今は亡き、大杉漣さんの踊りが可愛い。最初ネクタイを整えてる時はめちゃくちゃかっこ良いんだけど。
「Hello! Everybody!」、「ワンモアタイム」、「今夜、リンゴの木の下で」、「月光」。名曲が勢揃いだ。斉藤和義の名盤といえば間違いなくこの『斎藤』というアルバムだと思っている。
スーパーカーもそうだけど、気だるい感じで歌っている歌手は僕にとってかなり好み。決して適当に歌っているわけではない。奥田民生とかもそうだ。
5、醒めない/スピッツ 2016年 平成28年
このアルバムのジャケットにうつる女性、深川麻衣にかなり似ている。女性の方も可愛いが、モニャモニャも可愛い。
僕はこのアルバムをひっさげて行われた醒めないツアーに当選し、ライブに行くことになった。初めてのスピッツライブである。3年前のことだ。もうそんなに日が経ったのか。その時のライブをまだ思い出すことができる。
このアルバムの1曲目はアルバムのタイトルにもなっている「醒めない」である。
この曲はスピッツ自身のことを歌っている。歌詞がそう読み取れる。もちろん色んなに解釈ができるのであろうが。
まだまだ醒めない アタマん中で ロック大陸の物語が
最初ガーンとなったあのメモリーに 今も温められている
さらに育てるつもり
草野マサムネさんが49歳のときにこのアルバムはリリースされている。スピッツがこのアルバムを出した時は結成29年。次の年は30執念である。
まだまだ醒めずに、どこまでも突っ走っていく姿が感じられる。それを期待している。
同時に聴いている自分たちも、まだまだ醒めずに走っていこうと感じることができる。とても力が出てくる曲である。
詞が本当に素晴らしい。
僕は普段くっつかないような言葉と言葉のつながり、そういう表現を見たときにいたく感動したりする。
恥じらい燃やしてく
「恥じらい」と「燃える」、この言葉の結びつき。こういう詩的な表現にどんどん取りつかれ惹かれていく。
「グリーン」という曲のイントロのドラム音。ライブの時に崎山さんがかっこよくかき鳴らす。本当に気持ちいいくらいに手を自由に動かして鳴らす。その姿を今思い出して少しにやけている。
「みなと」や「雪風」もこのアルバムに入っている。
6、DANCE TO YOU/サニーデイ・サービス 2016年 平成28年
サニーデイ・サービスというアーティスト名からして僕の好みのドンピシャをついている気がする。オシャレな感じ。never young beach。
このアルバムで一番オススメは、「セツナ」である。是非ともこのMVを見て、ハマってほしいものだ。
久しぶりに聴いてまたハマっている。1回聴くとそれから何回かずっと聴きたくなるような曲。
「桜super love」 という名曲もある。
君がいないことは君がいることだなぁ
サニーデイ・サービス『桜super love』の「君がいないことは君がいることだなぁ」という歌詞。
— 山下 誉礼 (@second_homa8823) 2019年3月22日
別れの季節にしみわたる。あいつがいないことはあいつがいることなんだ、そして僕がいないことは僕がいることでもあるんだ。救われる。
救いの曲であるように歌ってくれている。ただ、「君がいることは君がいないこと」ではないだけよかったものだ。
7、XXL/岡崎体育 2017年 平成29年
なんかこのジャケット見てたら笑えてきた。
このアルバム、リリースされてすぐ購入した。Amazonではなく店頭で。
ネタに走っている曲もあるが、そうでない曲もある。
選んだアルバムの中で、捨て曲が1曲あるのはこのアルバムくらいだろうか。「まわせPDCAサイクル」、そんなに悪い曲ではないと思う。
先日京都に行った際に、聖地巡礼なるものをしてきたところだ。
8、CHOCOLATE/GIRLFRIEND 2018年 平成30年
これは入れるか迷ったが、なんか応援したいという気持ちも込めて入れることにした。なんだか仕方なく入れたように聞こえるかもしれないが、そんなことは決してない。他のアルバムにまったく劣らないアルバムである。
これこそ捨て曲が1曲もない、本当に素晴らしいアルバムだと思っている。
好きな曲たちは以前ブログにも書いている。
ちなみに、この曲は僕の誕生日にリリースされている。こういう偶然はなんか嬉しい。人は偶然のことを知った時に驚くほど驚くことがあるのだ。
9、ムキシ/レキシ 2018年 平成30年
レキシの6枚目のアルバム『ムキシ』。
1枚目が『レキシ』、2枚目が『レキツ』、3枚目が『レキミ』 、4枚目が『レシキ』、5枚目が『Vキシ』。
もう何がなんだかわからない。何が何枚目のアルバムかわからなくなってくる。レキシはアルバムのジャケットも毎回変わらないのよね。どれがどれかわからない。
5枚目までのアルバムを細かく聴いてきたわけではないが、全体的な良さからしてこの6枚目のアルバム『ムキシ』は平成の名盤と言って良いのではないかと思う。
すべてが大好きな曲だと言って良い。それくらい良い。
特に好きなのは、「GOEMON」、「GET A NOTE」、「SEGODON」。
10、瞬間的シックスセンス/あいみょん 2019年 平成31年
平成最後の大名盤だと勝手に思っている。ものすごい。
紅白歌合戦に初出場し、その時に歌った曲が「マリーゴールド」、ドラマ主題歌の「今夜このまま」はもちろんよく知っている曲だろうと思う。
是非とも「夢追いベンガル」も聴いて欲しいところだ。
最高にロックで、最高に熱い。
全身で感じている。このアルバムの素晴らしさを。
実は12月にあいみょん のライブに行くことになったのだ。さて、それまでにまだまだ名曲を生み出してくれるであろうから、聴き続けるよ。あいみょん いつまでもついていくよ。このあいみょん の後の変な空間気にならない?
以下、10枚に選ばれなかったものをいくつかあげておく。
まず、小沢健二の『刹那』。小沢健二のアルバムの中で『LIFE』と『刹那』とでかなり悩んだ。マクドナルドに行ってナゲットにバーベキューソースをつけるかマスタードをつけるかと聞かれる時くらい悩む。悩んだ末、バーベキューソースを選ぶ、いや、『LIFE』を選んだ。
次に、中村一義の『海賊盤』。金字塔じゃなくてこれにしようかとも思った。どちらも甲乙つけがたい。
後、『THE BLUE HEARTS』は昭和のリリースだったから外した。
スピッツのアルバムはすべていい。全てのアルバムがいい。捨てアルバムがない。
以上、10枚のアルバムと、惜しくも10枚には入らなかったアルバムをいくつかあげた。
これらのアルバムはもちろん令和の時代になっても聴き続けるだろう。現にいまも聴いている。
また、令和の時代にも平成同様、すばらしい名盤が出てくるであろう。僕の心を震わせてくれる最高のアルバムが出てくるであろう。
それを聴けることがいまから嬉しくてたまらない。まだまだ新しいものに出会えて、かつ、今までのものもずっと僕の心を温めてくれたりする。
音楽はとどまることを知らない。それらの音楽に出会い、感動を覚えようものなら、自分からどんどん音楽を聴いていくしかない。
平成の音楽たちありがとう。令和の音楽たちよろしく。
音楽は時代を越えていく。音楽は時代を結びつける。僕はいつだって時代を生きている。
さて、今から何聴こうか。